空き家の利活用

生まれ育った須坂の町を、より良い状態で次世代に繋ぎたいという想いから
司法書士業務での経験と知識を活かして、
空き家の利活用や歴史ある町並みの保存活用にも力を入れています。

空き家とは、文字どおり人が住まなくなり、管理されていない住宅のことを指します。
人が住まなくなった家のさびれた様子はイメージできるでしょうか。
防犯においても、景観や衛生の面でも、その存在は近隣で暮らす住民にとっては負の要素です。
こういった空き家の増加は日本全国で課題となっていて、長野県では5軒に1軒の割合だといわれています。

空き家になってしまうのは、それまで住んでいた人が亡くなったり、転居する際に、家を引き継ぐ人がいないからです。
そういったタイミングで売却や取り壊しや譲渡などの適切な対応がなされていれば空き家は生まれません。
しかし、手続きにかかる費用や時間がハードルになり、放置されてしまうケースが多いのが現状です。
また、思い出の詰まった家であれば、なかなか手放したり処分する気が進まないといったこともあります。

私の活動の拠点であり、生まれ育った町である須坂(すざか)市においても、空き家問題は大きな課題です。
かつて明治から昭和初期にかけて町は製糸業で栄え、その頃の蔵や商家などの歴史を感じる町並みが残ります。
しかし、15年ほど前にUターンしてみると、古い町並みは歯抜け状に新しい建物に置き換わり、
趣を残しているものの空き家になり活用されない物件が目につきました。
また、そういった歴史ある町並みに魅力を感じて新たに事業を起こそうとする人がいても、
空き家を借りることが難しいという状況を目の当たりにしました。

こういった状況を改善するためには、制度面での整備が必要であるのと同時に、空き家の所有者をはじめとした地域の方への啓蒙が必要だと感じ、講座やメディアでの発言を積極的に行ってきました。
また、自ら出資し、魅力ある空き家を再生し利活用する活動もその一環といえます。
ボロボロだった建物に灯がともり、賑わいが生まれる様子は、この町にはまだ眠ったままの価値や魅力があり、可能性があるんだと感じてもらえるのではないかと期待しています。
ただ古いからと棄てるのではなく、歴史や伝統、所有者の想いなどを引き継ぎ、新しい時代の工夫を加えることで次世代に繋ぐことができるはずです。